前田ベンヴォーリオの話をしたい(2021ロミジュリ・前田公輝さんのこと)
遂にDVDも届いたということで、今回は2021年私的「こんなはずじゃなかった」大賞圧倒的1位、前田公輝ベンヴォーリオの話をさせてください。
(ご本人についても書いてたらクソ長くなっちゃって全部で8000字近くあるのでお時間のある時に読んでいただけたら…。)
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彼が2017年と2019年の2期続けて出演したミュージカル『ロミオ&ジュリエット』も、彼が演じるマーキューシオも大好きで、でももう次のロミジュリにはさすがに出ないんだろうな…まるっと世代交代だろうな…さみしいな…次は誰がやるんだろう…と思っていたので、
そんな作品に入れ替わりで、彼の事務所の後輩の甲斐翔真くんがロミオで主演するという発表を見て、それならじゃあ見に行こ!2019年でマキュのダブルだった黒羽麻璃央くんもロミオだし、せっかくだから全キャスト見れるようにダブルキャスト1回ずつ行こ♪とりあえず両方初日でいいかな!と軽い気持ちでチケットを取ったのですが、
マジでこんなはずじゃなかった。
結果、配信も入れると計5回見ました。DVDも両ver買いました。なんで??
すべては前田ベンヴォーリオのせいです。
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前田公輝さんが演じたベンヴォーリオは、それまで2017年・2019年で4人のベンヴォーリオを見てきて、「ベンヴォーリオってこういう役だよね〜」というイメージがなんとなく固まってしまっていた私の脳内を、ぐっちゃぐちゃに引っ掻き回してくれました。(2019のたつベン(木村達成くんのベンヴォーリオ)もかなり新鮮だったんだけどね。)
それまでのベンヴォーリオのイメージって、司令塔的な立ち位置で一歩引いたところからモンタギューのみんなを俯瞰して導いているか、少しヘタレで頼りないみんなの弟キャラ、のどちらかで、どっちにしろ戦いにガンガン参加していく印象じゃなくて、暴れん坊なマーキューシオのブレーキ役というイメージでした。
だから戦いに乗り気で、特攻隊長のマーキューシオと一緒に自分もガンガン戦いに参加していく、喧嘩を楽しんでる前田さんのベンヴォーリオ像が新鮮でした。
前田ベンの素晴らしさを簡潔に言うなら、私的には表現やお芝居の細かさ。
そこのシーンを見ただけで「この人物は今こう考えているんだな」ということが、考えるよりも先に頭に入ってきて理解させられて伝わってくる、セリフ回しや表情の繊細さが素晴らしい。
私が特にそれを感じたのが、『ヴェローナ』~『憎しみ』後、モンタギュー夫人とのやりとりでの「それ以上追いませんでした!!」の言い方。
そこ?!って感じなのかもしれないですが、
「このベンヴォーリオは、ロミオを見かけたけど追いかけなかったことを、夫人に怒られるかも…!と思って言い訳してるんだ!!」ということに初めて気づけて衝撃でした。
あのシーンって、ロミオが冒頭の乱闘シーンにいない理由や、ベンヴォーリオとロミオのキャラクター性や関係性を伝えるために必要な繋ぎのシーンという印象で、なんでもないやりとりだと思っていたのに、そのなんでもないシーンで新しい解釈を与えられて、序盤で「えー!この人すごい!!演技うっっま…!!」とワクワクしてしまいました。
今までのベンヴォーリオの皆さんが下手とかそういうわけじゃ決してないんですよ。でも衝撃だった。この少しのやりとりにも意味を込められるんだな~って。
そんな人のその後の演技、ずっと期待してしまいますよね。
3期続けてモンタギュー夫人を演じてらっしゃる秋園さんも、彼を相手しててびっくりしたんじゃないでしょうか?って勝手に思っているので聞いてみたいです。笑
あとは曲を追って箇条書きで書いていきますが、
・『綺麗は汚い』のかわいさ。
あの曲で1番楽しそうなベンヴォーリオはきっと前田ベン。
フォロワーさんいわく「まえべんおにいさんといっしょ」
・『決闘』の感情。
今までのベンヴォーリオは決闘の中で、戦いに割って入るロミオを「邪魔するな」って止めたい気持ちから、ロミオに説得されて考えを改めてロミオと一緒にマーキューシオを止めようとする、に変化していく印象だったんですけど、
前田ベンはずっと一貫してロミオに「邪魔するな」って言っているのかなって。
彼が歌う「誰もが自由に生きる権利がある」は、俺たちが、マーキューシオが戦う自由もあるだろ、の意味に感じました。
あと階段で戦ってる時つよすぎる。おやこーの気配を感じた。
・『マーキューシオの死』の表情。
マキュが刺された時の表情、私2019年までは決闘のシーンってマーキューシオしか見えていなかったので(…)、直前にベンがティボを止めようとして突き飛ばされて、地面に倒れたその姿勢のまま、マキュが刺されるのを目撃してしまう、という流れになっているのを初めて知って…、震えました。
その瞬間の、時が止まったような表情から、マキュに駆け寄って抱えている時の表情、マキュが事切れた時、その後にロミオが起こした行動に呆然としている表情、全てが素晴らしい。ベンヴォーリオの感情が痛いほど伝わってきます。DVDで見ても何度でも泣いてしまう。
・『代償』の表現。
ロミオをかばうために「あなたたちの憎しみが僕たちを駆り立てた、僕たちは犠牲者だ」と大人たちに訴えかける。
前田ベンは、それまで呆然としていたのにロミオをかばうためになんとかその言葉を捻り出した感があって、それが詭弁であることは薄々自分でもわかっていながら言っていて、「言い逃れだわ!」とキャピュレット夫人に叫ばれてそちらを振り返ったのは、図星を突かれたみたいに見えた。
ここ、りょんベン(三浦涼介さんのベンヴォーリオ)は「言い逃れだわ!」って叫ばれて、「あぁ゛っ?!」って叫び返して威嚇するんですよね。本気で主張してかばってる。
たつベンも絞り出してる感じだけど、でもその主張自体は信じながら言っている。
みんな表現が違って、みんないいなあと思いました。
前田ベン、ロミオをかばって寄り添ってから、落ちていたナイフを手に取って走り去るまで、全部の表情が素晴らしい。甲斐ロミオの表現も細かくて素晴らしいので、DVDでもこのシーンの情報量すごい。
・『狂気』
決闘の時は、ロミオに邪魔するなって言っていたはずのベンヴォーリオが、「頭を冷やせ」と止めに入る、「みんな狂っている」と狼狽える、それだけマキュの死やロミオの行為が彼に与えた変化の大きさ、彼にとっての2人の存在の大きさが伝わってくる、それまでの演技の積み重ねのすごさ。
・『どうやって伝えよう』
ミュージカルの歌唱表現には必要不可欠な「喋るように歌う、セリフの延長線上に歌がある」ができてる人だなと思う。ミュージカル初挑戦で…?なんで…?すごい…。
前田さんの歌、個人的には唸るほど上手すぎるというわけではないんですけど(すみません…)(もちろん下手ではないし十分上手いんですけどミュージカル界には歌が上手すぎる人たちがいっぱいいて…)、
技術は後からいくらでも身に付けることができるし、1番大事ながら難しいだろう「セリフとして歌う」ができるセンスがすでにあるのは本当にすごいなと。
歌の中で心境が変わっていく様子、最後の決意の顔の険しさ、実際に伝えるシーンとの繋がり、素晴らしいです、痛くて泣いちゃう。
あと私、このシーンに2019年から入った、スクリーンに写真を映す演出(通称インスタスライドショー)どちらかと言うと否定派だったんですけど、前田さんの表現力のおかげでそれも意味のあるものに見えてきました…。
・『何故』『罪びと』『エメ』
霊廟のシーン、ロミオの亡骸に駆け寄って、何が起きたのか、自分が何をしてしまったのか悟った時の顔、
「何を頼りに生きていこう、希望は閉ざされた、神よ」も歌えないくらい、本当にその言葉をただ呆然と呟いているみたいな前田ベン。
もともとのお顔立ちの関係で口元が薄ら笑みの形のように見えて、人間が心底絶望した時ってこういう顔をしてしまうんだな…というリアルさが凄かった。
憔悴しきった様子のままロミオとジュリエットの亡骸を寄り添わせて、両家の和解を祈るような気持ちで見つめる顔、
ヴェローナの今後のことは頼んだよ…君ならできるよ…の気持ちになりました。
ここも見るたびに号泣してしまいます、劇場で観劇した時は泣きすぎてすぐに切り替えられない回もあったほどでした。(なのに当の本人はカテコでニッコニコで踊ってて、なんで?!このおしまいの感情の責任取ってよ?!って理不尽にも思ってしまったり笑)
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私は2019年までは、推しがやっていた役だしキャラクターとしてももともとベンヴォーリオよりマーキューシオの方が好みなので、”マーキューシオの物語”としてロミジュリを見ていることが多かったです。
そんな私に”ベンヴォーリオの物語”として、新しい視点で見る魅力を教えてくれたのが前田ベンヴォーリオです。
前田ベンのおかげで、推しが出ているからという理由だけで好きだったわけじゃなくて、私はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』という作品自体がかなり好きなんだなということに気づけて、もっとこの作品が大好きになりました。
2021ロミジュリ全体で書きたい素敵なところももっとたくさんあるんですよ、
もう自分も離れなければいけないのかなと思っていた作品を、こんなに今年も楽しむことができたのは本当に嬉しくて、今年のロミジュリカンパニーの全キャスト、全スタッフの皆さんのおかげだなと思います。
DVDに残していただき本当にありがとうございます!
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この後はちょっと前田公輝さんご本人のことについて書きたいんですけど…、
初日観劇して前田ベンの衝撃でふらふらになっている私に追い打ちをかけたのが、その日のカーテンコールでのとある事件だったなと思います。
初日だから、演出の小池修一郎先生がご登壇されてご挨拶されていたのですが、若者メインキャスト1人1人について短くコメントされていく中で、ベンヴォーリオの順番になって、「えーっと…味方くんだよね?」とおっしゃったんですよ!!
私は思わず「違いますけど?!」と叫びそうでした、すっかりまえベンのリアコになってたので。笑
でも、初日カーテンコールの場で演出家から名前を間違えられるってかなりショックなはずなのに、前田さんは「惜しい!3文字なのは合ってるんですけどね〜!!笑」って素早くそれを笑いに変えてて!!3文字なのはって…ほぼ何も合ってないみたいなものなのに!笑 そんなやさしいにも程があるフォローある?!
頭の回転が早くて優しくて面白い良い人なんだな~~~と思って、ご本人の好感度も爆上がりしてしまいました。だからもう全部イケコのせいですねこれは。笑
東京千秋楽のカーテンコールでも小池先生がご登壇されて、そこでは話の流れを急に変えて唐突に前田さんをピックアップされてて、
それに「僕なんかが…いいんでしょうか…」って反応されてる前田さんを見て私は「謙虚!!いいに決まってるじゃん!!!」って叫びそうでした、すっかりまえベンのリアコになってたので。笑
「今日はホリプロの社長もいらっしゃってるので、是非彼に今後もミュージカルを」って小池先生もおっしゃってたので、是非またミュージカル出てほしいです…本当に……責任取って………。
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2021ロミジュリキャスト発表時に、Twitterでフォロワーさんが「味方良介と前田公輝のダブルキャストどういうこと?」と言っているのを見て、「味方くんと同じくらい有名な人なんだな〜テニミュの人とかなのかな?」(テニミュも全く通ってきてないので詳しくなくて…)とか思ってたんですが、全然違った、ハイローの人だった。
「HiGH&LOW」シリーズは、あれだけいろいろな事務所の若手俳優がたくさん出ている中で、アミューズの若手俳優が1人も出演していない(唯一出演してるアミューズ所属の俳優さんが岸谷五朗さん)のもあって、対岸の火事(触れる人みんな落ちていくのめっちゃ怖いし近寄らんとこ…)と思って今までまっっったく触れてこなくて、意図的に避けて生きてきたんですね。
ロミジュリ初日終わりに「前田くん、ハイローの人なんだ〜なるほど、だから強そうなんだ…」って呟いた途端に見知らぬ前田さんのファンの方からいいねがたくさん付いて、ハイロー沼にいるフォロワーさんやリア友から爆速リプライが来てやっぱりハイローやくざ怖いなと思いました。(失礼な発言)
リア友からはその後、映画『HiGH&LOW THE WORST』の初回限定盤Blu-rayをプレゼントされました。なんで??(「かずほくをよろしく」だそうです)(THE RAMPAGEさん、人数多すぎん?覚えられる気がしないよ)
夏以降なかなか時間がなくて、結局まだドラマ2期の轟くんが出る回とザワしか見られていないので、年末年始休みにハイローシリーズちゃんと履修したいかなっておもいます…。
ちなみにそのリア友からは現在『PRINCE OF LEGEND』?の円盤を渡されたまままだ手を付けられてないです、これも年末年始に見て返すね…。
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ロミジュリを観た直後に、「なんで私この人のこと知らなかったの…?何やってた人なの…?」と前田さんのプロフィールを調べて、
「ごくせんの青メッシュの人」とわかった時は「お前かーーー!!!」(口が悪い)となりました。
当時はほぼ春馬くんしか見えてなかったけど、青メッシュの人がいたのはビジュアルとして印象に残ってる。今度円盤見返したいな。
あとは平間くんが2016年に出演していた朗読劇「私の頭の中の消しゴム」に前田さんも出演されてて、そこでもニアミスしてたのもウケました。このパネルうちにある。
ロミジュリ公演期間中も、「黒髪の時と顔違くない???」「私が見たベンヴォーリオの人と、"前田公輝"で検索して出てくる写真の人の顔が全然違う」って言ってたんですけど、
半年経った今でも前田さんの他の作品見るたびに「違う人じゃん??」って言ってます。
黒髪の前田さんと金髪の前田さんと前田ベンと轟くん、私は全員違う人だと思ってます。全員別人。
私は前田ベンから入ったので、役のイメージは明るくておおらかでかっこいい、本人の内面の印象もそのまま""陽""で固定されてるのでギャップはほぼないんですけど、
黒髪の陰のあるビジュアルの役の時にハマって中身この性格だったらギャップで頭おかしくなるんじゃないかなと思います。
轟くんからハマった前田さんのファンの方たち、このギャップに耐えてファン続けてらっしゃるのスゲーなって思います。ギャップに耐えられる特殊な訓練をされてる方たち? あとやたら絵が上手い方が多くてスゲーなとも思ってます。
前田さんファンの皆さん(fan-ilyさん)の印象、まえださんのことが大好きでパブサが上手くて熱心で布教の熱量と的確さがすごくてやたら絵が上手い人が多くてギャップに耐えられる特殊な訓練を積んだ、オンライン接触を"タイマン"と呼ぶ面白い方たち。(失礼な発言)
(追記:このブログを読んでいただいた前田さんファンの皆さんの感想を読んで、皆さんもギャップに耐えられてるわけじゃなくてむしろギャップで頭メチャクチャにされて落ちてるんだなということがわかりました。笑)
ツイート拝見してて面白いので、ロミジュリ期間中に私の”まえベン狂いツイート”に反応いただいたファンの皆さんのアカウントをリストに入れさせていただいてこっそり拝見してます…行動がキモオタですみませんほんと…。
(銭湯の取材のやつはちょっと直接リンク貼るの憚られるので(…)、興味ある人は"前田公輝 銭湯"で検索してみてください。笑)
あと2022年カレンダーも買いました。先日届きました。やばいですね?私は11月の写真に呻き声を上げました。
horipro-shop.com 全編金髪での撮影、まえベンに狂った新規を離さないためなのかなんなのかわからないですけど、もしそうだとしたらホリプロの商売のうまさスゲーなって思います。
抽選特典のオンライントークも、ファンクラブ枠での購入じゃないし(fan-ily、ロミジュリ円盤購入特典のために一度入会したけど惜しみながらもう抜けてしまった)当たらんやろ♪まあ当たったら腹括って考えよ!の軽い気持ちで応募したら当たってしまいました。
何話せばいいんだろ? 当日、甲斐翔真コンサート(平間くんゲスト)のマチソワ前なんですけど…ちゃんと考えます。
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推すという行為には責任が伴うと思っているので、前田さんについてまだ私は、この人に対して責任を取れるのか?って見極めている途中というか、推してない、現時点ではまだ推してないんですけど、仮に今後推したとして、私は"子供時代から芸能活動やってて特撮もテニミュも出演してない自分と同世代の俳優"しか推せない運命にでもあるのかな?と思ったりする。
朝ドラ『ちむどんどん』の出演もとっても楽しみで来年の春が待ち遠しいんですけど、やっぱりまた舞台でもはやく見たいなって思います。
あのお芝居の繊細さを新感線作品の熱量で浴びて狂いたいなとか。
『髑髏城の七人』で前田捨之介が見たいなとか。
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この長いブログを読んでいただいた人の中に、もし2019ロミジュリを未見の方がいらっしゃたら、ぜひそちらも、平間マーキューシオも見てほしいかなって思います。
キャピュレットへの憎しみとロミオへの愛でぐちゃぐちゃになってる壊れそうな精神不安定なマーキューシオ。見てほしい。
あときっと確実にロミジュリナンバーも歌ってくれるはず(?)なので、先述した甲斐翔真くんコンサート(平間壮一さんゲスト)の配信もご都合良かったら見てください。
【日程:2021年12月25日(土)18:00回(アーカイブなし)】
(22/7/31追記。これを書いた2021年末時点ではまだ迷いつつ悪足搔きしてたんですけど、現在はもう、前田さんのファンになってしまってるなあという自覚を持って専用Twitterアカウント(@shumai_ya)まで作ってしまいました、という後日談です。)